地中の毒気や熱気や、健康な風が吹き抜けないことで病気の土地となることもあります。
人はこれらの原因を、わたしたちの力の及ぼない大自然のなせるわざと諦めてしまいますが・・・
なお多くはわたしたち自身に関わっていますし、努めればそれらの悪条件をより小さくすることができます。
そして、病める土地について次のように言っています。
「病める土地、たとえどんなに肥沃であろうと、いつか不幸は利益を帳消しにしてしまう。
利益が不確実になるばかりでなく、やがて、そこに働くものの命まで精算する破目になる。
そうなると、農耕はもはや人の生命とすべての財産をかけたひとときの賭ごとにすぎなくなる」。
・・・さて、ローマはその昔ティベルの河のほとりに建国したときは、ファルというニ粒コムギをひき割りがゆにしていたといいます。
しかしウァロの晩年には、エジプトのコムギも、カルタゴのコムギも、そして、かつてギリシャ人たちがあこがれた小アジアのコムギもふんだんに手に入りました。
より効率よく収穫するといった言葉の中にも、いろいろな要因が含まれています。
・・・しかし、収穫は1年だけでよしとするものではありません。
ある一定の水準の効率を長期に保つにはどうしたらよいかとなると、今日の農学にも多くの未開拓の間題が残されています。
ウァロたちはエネルギーという用語は知らなかったのですが、その定義のなかで、農業の目的を的確にとらえています。
ウァロたちは、さらに宇宙の4つの要素をよく知ることから農耕は始まるとしています。
4つの要素とは、水(アクア)、土地(テルルア)、大気(アニマ)と太陽(ソール)です。
この4つの要素のうち、現代、病める要素が何であるかはすぐ指摘できることです。
例えば、健康な土地と病める土地があります。
ウァロによれば、病める土地とは、土地自体の性質や水によることもあります。
農耕は「太陽を収穫する」といわれます。
耕地にふりそそぐ太陽エネルギーをいかに効率よく利用できるかを考えてきたのが、今世紀の農業です。
ある地域では1年間の作物の生産量を熱量に換算して2万熱量単位だとします。
他の地域では4000熱量単位しか収穫しないとしましょう。
前者の5分の1の耕地分にすぎません。
一方、比較する2つの地域は地形、気象また社会環境が異なります。
一定耕地面積当りの熱量では、かえって全体で4000熱量単位しか収穫しない地域の方が高いこともあり得るでしょう。
耕地では、子供も、妻も働きます。
・・・そうなると、労働人口当りとか労働時間当りの熱量で比較してみる必要があります。
青山や原宿、新宿、本郷など一歩裏へ入ると、その土地のイメージとはかなり違った"まち"がみられます。
狭い公園で終日幼児を遊ばせる母親には、"下町的庶民"の親近さがみられます。
こうした裏まちにはまた、いまどきびっくりするような店もにあります。
なつかしいイメージそのままのお米屋さんや雑貨屋さん・・・。
衣料品を店先に並べて、奥では数人で餅菓子をつくるという信じられないような光景さえみられます。
・・・これが東京の奥深さともいえるでしょう。
さて、いまや東京の郊外部は、中央線でいえば三鷹、武蔵境からはじまり、高尾までひろがっています。
さらに伸びて相模湖から大月に伸びているとする見方さえにあります。
西南方向でみれば横浜の郊外部と完全に重なり、鎌倉、逗子から藤沢、茅ケ崎、平塚へと伸びています。
一流企業に勤める夫は、そこそこのゴルフクラブの会員権をもち、妻がテニスクラブに所属する場合もあり、子供たちは私立の有名校に通っています。
国産の高級車か外車をもち、休日には夫婦または家族つれでドライブ旅行の機会も多いです。
映画や演劇、音楽会や美術展も話題になるものはひと通り見たり、聴いたりします。
レストランやすし屋、そば屋、割ぽう店、喫茶店などの情報には精通し、家族づれや友人などと利用する機会も多いです。
食料品など日常のショッピングはデパートか、紀の国屋など高級スーパーとありきたりのスーパーを上手に使い分けます。
ファッション衣料を中心とする買回品のショッピングは数多い都心の専門店やデパートを上手に買い回ります。
日常生活には意外に厳しい面をもちながら、生活の楽しみや生活の質の豊かさのためにはかなり思い切ったお金の使い方をするという賢い主婦の姿が浮かび上がってきます。
・・・ライフスタイルをいい現わす言葉としては"ハイセンス"、"情報高感度"、"生活エンジョイ"、"カルチャーライフみなどがあるでしょう。
地理的な範囲でみる現在の下町はかつての日本橋、京橋、上野、浅草、本所などではなくなっています。
・・・いわゆる下町の範囲は、江東、墨田、江戸川、葛飾、足立にまでひろがっています。
同じように山の手の地理的な範囲もかつての麹町、麻布、赤坂、本郷などから新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並、目黒、さらには武蔵野、三鷹などの市部にまでひろがりをみせています。
全体としての生活水準の向上、交通の発達、"分を守るという価値観"に代わる"人並み意識"や"個性化"の価値観の浸透は、地理的な範囲がひろがるのと逆に、かつての典型的な下町的ライフスタイル、山の手的ライフスタイルを消滅の方向に向かわせているのです。
そして、下町、山の手に変わるライフスタイルとして、ハードコア中心部と郊外という2つの大きなグループが浮かび上がってきています。
中心部コアの住民は大別すると富裕な層と豊かでない層とに分けられます。
前者の典型的イメージは都心部の中・高級マンション居住者であり、後者のイメージは公営アパートか木賃民間アパートと結びついています。
比較的豊かなコア住民のライフスタイルを思い浮かべてみましょう。
白を基調にしたしゃれたリビング、機能的で清潔感溢れるキッチン(外国製のシステムキッチンはそのシンボルです)、ムードのあるベッドルーム、食卓の雰囲気を盛り上げる食堂などが住まいの情景です。