大部分は、低い水温に耐えられずに死んでしまうのである。
南の海から運ばれてきて、冬をこせずに死滅するため、一般に、かれらを死滅回遊魚とよんでいる。
相模湾からは、これまでに一〇〇〇から一三〇〇種の魚が記録されているが、これらのなかには、かなりの割合で死滅回遊魚が含まれている。
生物は、進化の過程で分布域をより遠くへ広げてゆく。
海産魚の場合は、黒潮のような海流が分布の拡大に重要な役割を演じている。
死滅回遊魚の生まれ故郷を特定できれば、その魚の移動距離、すなわち移動能力がわかる。
分布の拡大能力を測ることにより、現生海産魚の分布パターンがどのような過程を得て成立したのかがわかるかも知れない。
かれらは海産魚の分布の謎をとくカギをにぎっているのである。